「母乳が足りているか分からない」40.7%



 
 厚生労働省が発表した「2015年度乳幼児栄養調査」で、母乳のみで赤ちゃんを育てる保護者が生後1カ月と3カ月で、ともに5割を超えたと公表されました。5割を超えたのは、1985年度の調査開始以来初めてということです。
授乳についての悩みを複数回答で聞いたところ、「母乳が足りているか分からない」(40.7%)が最多。「母乳が不足気味」(20.4%)、「授乳が負担」(20.0%)でした。
 
 当院で昨年(2016年)1年間に受診していただいた患者さんで一番多かった主訴が、「分泌が少ないのでアップさせたい」が33%、2番目に多かったのが、「子供が直接吸ってくれない」が17%でした。上記の主訴で、受診いただいたお子さんの月齢は生後数日から5か月までと幅広く、授乳中のママたちの中でいかに「母乳の分泌」に関する悩みが多いことが伺えます。
 その悩みを解決すべく策として当院では、

産前からのおっぱい教室

   をお勧めしております。
その理由をまとめました。
①産後1か月までの母乳の分泌がその後の母乳育児に大きく関与する
②出産すれば母乳は自然に出るという考えを改めなおす
③赤ちゃんが産まれて忙しくなる前に、母乳育児のことをよりいっそう理解する
 
①に関しては、出産後1か月は療養する必要があるためサポートが多い時期です。しかし、1か月検診が終わった後は、自宅に戻り育児や家事に追われる毎日となります。母乳分泌を上げるためには、周りのサポートが大変重要です。また、出産後おっぱいに関するホルモン(プロラクチン)が高値にあり、子供が吸う刺激または搾乳によって、ホルモンが分泌され、分泌がアップします。出産後、病院の入院期間の数日だけでは、母乳育児についてのすべてを学ぶことはできません。私自身、10年以上産婦人科で勤務しておりましたが、病院で教えられることは、ほんのわずかでした。
②に関しては、「お産」に関する情報はたくさんありますが、母乳育児に関する情報は残念ながら乏しいのです。
 
③に関しては、初めて出産される方は、赤ちゃんが産まれた後の生活について、イメージできにくいこと、また産後はホルモンの影響で、すぐに涙が出たり、落ち込みやす状態にあります。
 

母乳育児をサポートする専門の人と交流を持とう

当院は、あらゆる母乳トラブル・母乳の分泌不足などの悩みを一緒に考え、解決する母乳外来専門の助産院です。完全母乳にこだわるわけでもなく、授乳行為が母子関係の大事な一歩と考えておりますので、一人一人にあった母乳育児支援を行っていきたいと考えております。
 
 

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