痛みのない授乳をするために

私が産婦人科で勤務していたとき、産後からすぐに乳頭にキズができ、痛みを我慢してわが子のためにと授乳されるママたちを、たくさんみてきました。どうして授乳時、痛みがある人とない人がいるのでしょう。




犬の授乳についてお話しすると、母犬が出産後、子犬におっぱいを与えないこともあるようです。その理由のひとつに、母乳の分泌が悪く吸わせることによって痛みがあるからのようです。

 痛みを感じるとき、その程度によって炎症が起こっている場合と、血行が悪い場合があります。前者の場合、授乳を一時中断して安静にすることが大切です。その際、授乳のたびに搾乳をしておく必要があります。後者の場合、その原因はおもに2つあります。

①母乳の分泌がよくない

②母乳の分泌がとてもよい


その他にも乳首の先端に白っぽい白斑ができている場合や、おっぱいにしこりがある場合でも痛みを感じます。
②の場合、赤ちゃんが飲む以上に作られたおっぱいは時間がたつと冷えて冷たいおっぱいになります。
①②に共通していることは、乳房内の血行が悪く乳頭・乳輪が硬くなり、赤ちゃんが深く吸えない状態にあるために痛みを生じることになります。


それでは具体的にどのような対処法があるのかをお話します。

①妊娠中からおっぱいのお手入れをする(妊娠経過良好であれば36週から)

②産後に冷えの養生をする

③授乳前に自己マッサージをする

④乳頭が硬い(鼻の頭の硬さ)場合は、授乳前にハンドタオルくらいの小さな温タオルで乳頭・乳輪を温める

⑤おっぱいの張りが強く、授乳してもすっきりしない場合は適度に搾乳を行う

⑥キズができて痛みが強い場合は、授乳を一時中断し、搾乳を行う

⑦授乳時、赤ちゃんの口がドナルドダックのようになって、乳輪がかくれるくらい深く吸ってもらう

⑧専門の人に相談する


 乳首にキズができると、産後早期は抵抗力が弱いため、乳腺炎になることが多々あります。また、乳腺炎の手当てが悪ければ、膿がたまり切開をせざる得ない場合や、分泌が悪くなる場合もあります。当院は、そのような悲しいトラブルを起こさないために、苦痛のない授乳を目指します。

 母乳育児の時間が、ママと赤ちゃんにとって幸せな時間となりますように、精一杯のお手伝いをさせていただきます。


やわらかい乳頭・乳輪が痛みのない授乳のカギをにぎります!






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