助産師になりたての私が思っていたこと

   ~母親といのちの不思議~


女性は、体内に生命がやどったときから、母親になります。赤ちゃんの入っている(胎胞)袋しかエコーで見えない時でさえも、お腹にそっと手を当て、新しい命を感じています。これまで一番大事だった自分が、その瞬間から、一番大事なものが子どもになるのかもしれません。人生で最大の痛み(陣痛)のときさえも、わが子に会いたい一心です。出産後、小さなわが子を胸に抱き、ほほえむ姿は、まさに女神のようにうつります。

母親になった女性には、不思議な力がある気がします。

自分以外の誰かを、こんなに深い愛情で、強く守ろうとする母親は、本当に不思議です。そしてまた、わが子を育てる責任の重さからか、大きな不安を抱えることもしばしばです。
それも全部含めて、子どもを産み育てる女性を、私は愛おしいなと感じています。
だからこそ、助産師としてママたちのそばに寄り添い、お手伝ができる日々を、とても感謝しています。
出産の現場に立ち会わせていただくと、母親の不思議と同時に、いのちの不思議も感じます。
母親の胸に抱かれ、その声を聞くと、泣いていた命は静かに呼吸し、母親の方を見上げます。
全く違う世界に放たれた命は、やがて母親のおっぱいを吸いだします。誰も教えていないのに。

母親といのちの不思議に魅せられて、まだまだ続く私の助産師人生。今日も当院を訪れてくださったママと赤ちゃんの笑顔のために、精一杯のおもてなしをさせていただきます。

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