たった5日間の入院期間で、母乳育児に必要な知識が習得できますか?




産後1か月までに乳腺炎を繰り返していたママが当院へ来院されました。

産後数日続く高熱があり、大きな病院であらゆる検査を受けられました。検査結果は特別な問題はなし。乳腺炎の症状もはっきりとしないため診断もつかず、解熱したので退院されたようです。しかしやはり心配で、おっぱいの専門の当院を受診されました。
その方の経過とおっぱいの状態を診せていただいた時、すぐに乳頭の傷から乳腺炎が起こっていたことが予想されました。

産後1か月は抵抗力もおち、急激に分泌があがってくるため、乳腺炎の好発時期でもあります。

乳頭にキズがある、吸わせるときに痛みがあるという場合は、いつでも乳腺炎が起こり得る状態にあります。
ママたちは産院からの指導で、「吸わせていたら、痛みはそのうちなくなるから」という言葉を信じ、痛みを我慢されます。痛みは最初の試練だと言い聞かせ授乳されていたようです。
しかし、その乳頭の傷が乳腺炎に移行することを知っているママたちは、それほど多くはありません。

普通分娩の方は日本では平均して5日間の入院期間です。しかし、産後すぐは身体の回復も十分でなく、初めて接する赤ちゃんの扱いに戸惑い、一変した環境の変化に疲労困憊です。ですから、その時期に母乳育児のすべての指導を受けることは不可能ではないでしょうか。おっぱいの状態も変化の多い時期です。
海外では1~2日間の入院期間ですぐに退院される国もありますが、地域の助産師が訪問に来てくださり、その後も丁寧なフォローを受けることができます。

ママたちが安心して母乳育児ができるシステムづくりが必要です。インターネットからの情報収集だけでなく、正しい知識と経験を持った専門の助産師がお手伝いできる社会のシステムに変わっていくようにと願っています。




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