母乳育児が軌道にのる人?のらない人?




母乳育児がうまく軌道にのる人とのらない人がいます。
そこにはどんな違いがあるのでしょうか?

一つ目はママ自身が、母乳育児にこだわりがないかもしくは、母乳育児の正しい知識を持っていない。

二つ目に、お産をする施設での方針の違い。
当院に来られるママたちは、いろんなところで出産されています。BFHといわれる赤ちゃんにやさしい病院「BFH(Baby Friendly Hospital)※下記に詳細あり」を掲げている施設でお産された方。または一般の産婦人科で出産された方など様々です。一般の産婦人科でも母乳育児に重きを置いている病院であれば、出産後からすぐに母児同室を進め、頻回授乳を勧めている病院もあります。 母児同室やミルクを与えず頻回に授乳を行う施設は、母乳の分泌を上げるためには、有効ではありますが、お産後の疲労が取れないうちからの極端な母児同室は、ママたちの疲労が回復せず、逆に分泌は上がらない傾向もあります。硬い乳頭を吸わせるため、乳頭の亀裂が生じたりそこから乳腺炎を起こしたりなど、一長一短です。時々ママたちは、「早く産婦人科を退院したかった、家に帰ってミルクを足したかった」などと話される方もいらっしゃいます。逆に入院中におっぱいが張らずに、ミルクをどんどん足すことになり、退院するときにはほとんどミルクとなって自宅に戻られる方もいらっしゃいます。 どこの施設でお産をするにしても大切なことは、ママたちに正しい母乳育児の知識を持ってもらい、本人がどうしたいのかをしっかり確認することが大切です。そこには、専門職の正しい知識が必要です。 保護器を使うメリット・デメリット、搾乳器を使う利点・欠点、またはその方法、混合栄養で行くのか完全母乳で行くのか、またはそれぞれのメリット・デメリットなどそれらをすべて聞いてから、ママたちに選んでいただきたいのです。 さて最後に母乳が軌道にのる人とのらない人の違い、三つ目です。 それは、ママたちの周りのサポート体制です。母乳育児を軌道にのせるためには、周囲のサポートは欠かせないものです。なぜなら、分泌を上げるためには休息が大事ですし、育児は、これまでの生活が一変しママには心身ともに大きな負担となる場合も多いからです。「おっぱいが足りないんじゃないの?」という周囲の安易な言葉かけは、産後すぐの時期のママにはとてもつらく感じられるのです。 「母乳育児」とは、育児の最初のスタートです。平均しても1~2年という期間限定の行為です。母乳育児が軌道にのらない人がダメと言っているわけではありません。しかし、母乳ケアの専門として、多くのママたちにかかわる中で、母乳を飲ませる行為や母乳そのものには、将来の有効な母子関係や母親としての達成感など大きなメリットが含まれていることを感じずにはいられないのです。 女性として生まれ母となり、子育てをする貴重な経験を与えられているのですから、その体験を十分に楽しんでいただきたい、それが当院の心からの願いです。 ※BFH(Baby Friendly Hospital) 1989年3月WHO・ユニセフは、「母乳育児の保護、促進、そして支援」するために、産科施設は特別な役割を持っている。

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