本当はおっぱいの分泌が良いのにミルクを足しながらどんどん分泌がおちていく?!~母乳育児の落とし穴~
産後1カ月までに分泌が上がらない人の特徴は、母体の貧血・産後の体の回復の悪さ・睡眠不足・疲労、子どもの体重増加の不良・子どもが、もともと眠りがちである・飲み方が弱い・使っている哺乳瓶が悪いなどたくさんの理由があります。 分泌を上げたいと希望されるママたちの受診は、当院でも多くいらっしゃいます。まずは分泌が上がらない理由を丁寧な問診で確認し、触診を行って、マッサージによるおっぱいの変化をみていきます。 分泌を上げたいと来院されるママたちには、基本的に3回続けて受診をしていただきます。一般的には、1~2週間空けて見せてもらいます。 マッサージを行った後の変化は、 ①おっぱいが張るようになってきた(おっぱい全体が膨らんだ)  ②子供さんの飲みが良くなり、体重の増加が良くなった  ③授乳の間隔が空くようになり、ミルクを足す回数が減った  ④夜に長く寝てくれるようになった 夜にミルクを足さなくて良くなった ⑤片方のおっぱいを飲ませていると、逆のおっぱいからぽたぽた出てくるようになった 3回通院していただいた後は、おっぱいのケア方法も理解でき、ミルクの足し方や今後の体重増加についてもお話しするため、初診で来られた ママとは全く表情が変わります。自分のおっぱいが出ている安心感と、分泌が上がった満足感です。 基本的に産院では、分泌を上げるために、頻回授乳をすすめられますが、産後1か月までのおっぱいは、頻回に授乳を行っているだけでは、どうしても母乳の分泌が上がらない場合もあります。 それは、①乳腺の開口状態が悪い状態でおっぱいを飲ませられているから作られたおっぱいをきちんと飲みとれない。 ②子どもさんの飲む強さが弱いから、1回の授乳量で分泌が伸びずにミルクを足さなくてはいけなくなる。 体重の増えが悪い場合は、産院ではどうしてもミルクの量を増やしてくださいという指導が一般的です。本当はおっぱいの分泌が良いのにミルクを足しながらどんどん分泌が落ちていくというケースは、初めて母乳育児をされる方には、実際多いのです。産院で大切なことは、子どもの標準的な体重増加であって、母乳の分泌を上げることではないからです。 そのことを、どうか知っておいていただきたいのです。産院という場所は、安全なお産をする場所です。母子ともに、大切な命を預かる とても大切な場所です。安全なお産を終えた後、なかなか思うように母乳育児が軌道にのらなければ、どうか母乳外来専門の助産院にご相談されることをお勧めします。産院では受けられない専門的な技術を持ったおっぱいマッサージと母乳育児に関する丁寧なアドバイスや指導を行っています。

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