それでも保護器を使いますか? 直接授乳ができない理由には、乳首が短い・大きい・扁平・陥没しているなどがあります。出産後直接授乳ができないために、産後から保護器を使って授乳する場合が多々あります。しかし、その保護器は直接授乳と違い おっぱいトラブルを招くデメリットがたくさんあります。乳腺炎、乳頭の傷をつくる、子どもの乳頭混乱など。そんなデメリットが多いため、当院では基本的に保護器を使った授乳はお勧めしていません。直接授乳ができない方に、どんな形でアプローチしていくかについてお話します。 まずは、①産後すぐからの自己マッサージと搾乳を3~4時間おきに行ってもらいます。②(産後すぐに私が介入できれば)直接授乳を試みます。お子さんにママのおっぱいを一度は吸ってもらいます。授乳の感覚を覚えていてほしいからです。③自宅での直接授乳の練習は昼間に1~3回/日で構いません。できなければ、しなくても大丈夫です。④とにかく1か月間は、搾乳に徹します。(3~4時間おきです)④1か月過ぎ頃に、子どもの体重がしっかり増えたら、本格的な直接授乳の練習スタートです。しかし、搾乳の回数は減らしても授乳と併用していきます。その間直接授乳の哺乳量を測りながら、児の体重もしっかり見ていきます⑤2か月になると搾乳の回数が1~2回/日になり、メインは直接授乳にしていきます。 これが 直接授乳ができない方でも、トラブルなく完全母乳になっていく方法です。保護器は一切使いません。保護器を使っていると、必ず直接授乳に移行しようとするときに、子どもの癇癪(かんしゃく)が起こってくるし、、または長い授乳期を保護器なしでは授乳できなくなります。保護器を使って授乳している人は、授乳時間が長くなります。直接授乳している人は1回の授乳が10分以内、保護器を使っている人は授乳に20~30分かかります。また、どんな月齢でもおっぱいのトラブルの可能性を抱えてしまうことになります。ただしい母乳育児の知識が、たのしい母乳育児へとつながります。当院は、ママと赤ちゃんの笑顔を一番大事にしています。産後から保護器での授乳をしていて、直接授乳ができない方は、一日でも早く母乳外来専門の助産院にご相談されることをお勧めします。

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