「助産院に来院するに至った状況とその後の変化のアンケート」から見えてくる母乳育児
当院で2020年12月1日~2021年8月30日来院された母親へのアンケートを実施しました。そのアンケートの調査人は、当院へ以前実習に来られた看護学生。助産院でのケアに興味を持たれ 当院は実施に協力しました。そこから見えてきた結果・考察をご紹介いたします。2015年度 厚生労働省の乳幼児栄養調査によると、10年前と同様に 妊娠中の93.4%の母親が「母乳で育てたい」と考えています。しかし同年の出産後1か月の母乳育児実施率は51.3%、出産後3カ月では、54.7%と何らかの理由で母乳育児を継続することができない状況にあります。産後1か月の母親の母乳育児不安の要因として「母乳不足気味」「乳頭・乳房痛」「赤ちゃんの飲み方」が報告されています。このアンケートの結果からも 助産院初診来院時期は月齢4か月未満が81.5%と 大半の母親が 母乳育児に悩みや不安を持っている時期は早期にあると考えられます。
また 退院後に助産院でのより良いケアを受けた母親は、受けていない母親と比べて、母乳育児に関しての満足感が高く、その後の育児を肯定的にとらえることができています。さらに助産院でのケアの前後の心身の変化については、「授乳中に幸せを感じることができるようになった」が83.3%、 「母乳育児に自信が持てるようになった」が81.5%と 助産院での関りで 母親の母乳育児に対する満足度が上がっていることがわかります。
これらのことから 言えることは、退院後すぐからの 母親への継続的な関りができる助産院の存在が 現代の子育てには必要だということです。また 産後の育児不安にに多い 母乳育児のトラブルに対応できる専門性を持た助産師の存在が 必要だと考えます。
しかし現状は まだまだ「母乳外来専門の助産院」という存在を 周知している母親は少なく 受診が遅れていることが現状です。乳腺炎が悪化して 膿瘍形成を招き 切開をしないといけに状態になってから受診されるケース、出生後一度も 直接授乳ができていない状況で 分泌は落ち 母乳育児の継続が 難しいケースも多々あります。
初めてお産をする母親にとって、妊娠中に不安の最大の要因は、「出産」であり、「母乳育児」については、どうにかなると思っている場合が多々あります。赤ちゃんは吸ってくれる、おっぱいは出るものとポジティブに考えることが、産前に母乳育児について学ぶ機会をなくしていると考えられます。
産後1か月を経過し まだ一度も母乳を吸えない母親は、母乳育児を行う周囲の母親たちを見て、自分は母乳も吸わせることができない 母親失格だと 否定的に考えてしまう場合も多々あります。産前はミルクでもよいと思っていた母親が、産後はなんとか母乳を吸わせたい 気持ちに変化した母親にもたくさん出会ってきました。 母乳を吸わせるという行為が 母親になる自覚を高め、母と子のきずなを深くする行為であることは 日々 母親たちから 感じることです。
当院の願いは ただ一つ 母親たちが 笑顔で 楽しい母乳育児の時間を過ごしてほしい。
どうか 世界中の母親と子どもたちが 笑顔でありますように!
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